王国が帰ってきた!ネイマール金「人生で最も幸せ」
日刊スポーツ 8月22日(月)10時6分配信
PKの末に優勝を決めたブラジルFWネイマール(手前)は両手を広げて天を仰ぐ
<リオ五輪・男子サッカー:ブラジル1(5PK4)1ドイツ>◇20日◇決勝◇マラカナン競技場
「マラカナンの歓喜」に王国が沸いた。サッカー男子決勝でブラジルが1-1からのPK戦でドイツを5-4で破って初優勝した。オーバーエージ(OA)枠のFWネイマール主将(24=バルセロナ)が先制の直接FKを決め、PK戦では相手の5人目が失敗した直後に成功させた。過去の五輪で銀メダル3度、銅メダル2度の開催国が悲願の金メダルを獲得。14年W杯ブラジル大会で1-7で惨敗したドイツに借りを返し、復権を印象づけた。
カナリア色の聖地が沸騰した。決めれば金メダルのPK戦、後攻5人目。ここで登場したネイマールは、GKの逆を突いてゴール右上に蹴り込むと、ひざまずき、天を仰ぎ、ピッチに突っ伏した。6万超の国民が我を忘れ叫ぶ中、悲願を遂げた立役者が起き上がれない。「言葉が見つからない。人生で最も幸せだ。神様、家族、仲間に感謝したい」と感涙で体が波打った。
「悲劇」の2文字がこびりついたマラカナン競技場が、66年の時をへて「歓喜」に洗い流された。W杯で最多の優勝5度を誇る王国が唯一、持っていなかった金メダルを、ついに手に入れた。表彰式では思いっきり、かんでみた。笑った。夢じゃない。13度目の出場で銀メダル3、銅メダル2だった母国の歴史を、4度目の決勝戦で塗り替えた。
孤高の歩みだった。大会前は深夜のパーティー通いを批判され「ピッチと私生活は別」と反論して火に油を注いだ。迎えた1次リーグは2戦連続の0-0。ファンはレプリカユニホームの「ネイマール」に二重線を引き、同国女子の英雄「マルタ」の名を書き足して抗議。元日本代表監督ジーコ氏からは「主将にふさわしくない」と酷評された。
評価を覆すには結果を出すしかない。それも金メダル。前半26分に世界クラスの先制FKを決めると、叫びながらベンチに走った。「エオ・エスト・アキー(俺は、ここにいる)」。絶対に見返す。野心を原動力に頂点へ導き「批判にはサッカーで返事をした。評論家は前言撤回してくれ」と不敵に笑った。表彰式の後は観客席の恋人ブルーナさんの元へ一直線。「約束していた。メダルは特別な人に届けるものだ」と奔放なスタンスも崩さなかった。
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