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ハリルJ専属シェフ、西氏が語る決戦前の食事

 絶対に負けられない試合当日、フィールドに立つ選手はどのタイミングで、何を食べれば最高のパフォーマンスを出すことができるのだろうか。

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 試合前にしっかりとエネルギーを摂取しておかなければ、ピッチ上で十分なパフォーマンスは出せない。だが、食べたものを胃の中で消化しきれなければ、お腹に重さを残しながらのプレーを強いられることになる。サッカー日本代表の海外遠征時に専属シェフとして帯同する西芳照さんに、試合直前の理想の食事について、話を聞いてみた。

「試合当日はキックオフ3時間半前、移動する前のホテルで軽食を摂るようにしています。エネルギー源である炭水化物を摂りやすい、おにぎり、麺類、サンドウィッチの3種類です。おにぎりに関しては1つ100グラムで、3種類を出します。そのうち2つを食べる選手が多いです」

西さんはこう語る。

 JFAナショナルトレーニングセンターJヴィレッジの総料理長をかつて務め、現在は福島県広野町のレストラン「アルパインローズ」「クッチーナ」でシェフを務めている。2011年3月に発生した東日本大震災を受けて福島第一原発での対応に当たる作業員に対して、「温かい食事を提供したい」という思いから、被災地となった生まれ故郷に留まり続け、腕を振るっている。
栄養吸収と消化のバランスを考え、キックオフから逆算

 西さんは「日本代表専属シェフ」としての肩書きでも有名だ。06年にワールドカップ・ドイツ大会に臨んだジーコジャパン以来、イビチャ・オシム氏、岡田武史氏、アルベルト・ザッケローニ氏、ハビエル・アギーレ氏、そしてヴァイッド・ハリルホジッチ監督と6つの政権にわたって日本代表戦士の胃袋を満たしてきた。

 試合前の栄養吸収と消化のバランスを考えると、キックオフから逆算して3時間半前の食事がベストなタイミングだという。

 サムライブルーのシェフが戦いに向かう選手に提案するのは、まずおにぎり。中の具はおかかなど、3種類だという。お米は脂質が少ないため、体内での消化が非常にいい。なおかつ炊くことで水分もたっぷりと含まれる。栄養素の高い食材を詰め込むことができるため、試合直前にはもってこいの食材だという。

 続いては麺類だ。日本代表のナンバー10を背負うドルトムントMF香川真司はうどんが大好物であることを公言しているが、西さんは香川以外の選手の間でも人気メニューになっていると語る。

「うどんとパスタの麺類も用意しますね。具体的に一人前の量でいうと、うどんだと200グラムになります。試合までの3時間半で消化のことを考えた際は、“しっかりと茹でた”状態で提供するようにしています」


サンドウィッチの具材は…

 歯ごたえを求めた固めのうどんでは消化しにくく、胃に負担もかかるために、あえて柔らかい状態で提供しているそうだ。うどんの種類については「ツルツルとしたのど越しの『稲庭うどん』がいいか、コシのある『讃岐うどん』がいいかという話も出ました」と語るが、様々な意見を集約し、現在は讃岐うどんを提供する機会が多いという。

 また、おにぎりや麺類だけでなくパンを好む選手もいるために、このニーズにも対応している。

「サンドウィッチも出すようにしています。その際、サンドウィッチの具材は高タンパク低カロリーであるチキンの胸肉を使います。サンドウィッチならひと切れで頬張れるから、食べやすさは抜群です」

 定番の3品に共通するのは、気軽に食べることができる点だ。3時間半前に炭水化物を最も消化しやすい状況で摂取する。試合直前の食事のクオリティもピッチ上でのパフォーマンスに違いを与えているのかもしれない。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160717-00010000-theanswer-socc&p=2

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