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ユーロ2016でポルトガルが最高のチームだったとは、誰も思っていないだろう。イタリアやドイツのほうが、おそらく強かった。
1次リーグのポルトガルは、弱小国ばかりのグループで3位に終わった。

出場枠がなんの分別もなく24カ国に拡大されていなければ、この時点で大会を去っていたことになる。

決勝で唯一のゴールを決めたエデルは、2015~16シーズンの冬まで在籍したプレミアリーグのスウォンジーでは無得点に終わっており、
フェルナンド・サントス監督の率いる代表に招集されはじめたばかりだった。

今回のユーロを制したポルトガル代表は、12年前のユーロでギリシャに敗れたルイス・フィーゴやデコ、マニシェ、クリスティアーノ・ロナウドのチームより明らかに劣っていた。
監督のサントスも認めたように、ポルトガルはひどい試合をしていた。決勝が終わった後にペペがピッチで吐いていた姿は記憶から消し去りたいが、今大会のポルトガルがいかに見る者を楽しませなかったかを象徴するシーンだ。

それでも、ポルトガルのフットボール文化は独特の強みを持っている。
ラテンアメリカのテクニックと、ヨーロッパの力と規律──その両方を、ここまであわせ持つ国はほかにない。

ポルトガルのクラブは毎シーズン、ラテンアメリカの若くて才能ある選手たちをたくさん獲得する。
彼らはポルトガルを第二の祖国のように思い、ヨーロッパでキャリアを築く出発点にする。

こうして海を渡る選手の多くは、フットボール界最強のエージェントであるジョルジュ・メンデスが世話している。
彼が担当する選手には、ジエゴ・コスタ、ラダメル・ファルカオ、アンヘル・ディ・マリア、ハメス・ロドリゲスらがいる(もちろん、C・ロナウドの代理人もメンデスだ)。

こうしたラテンアメリカの影響がポルトガルのフットボールをつくっている。
ほとんどの選手は南米らしいボールテクニックを持っているが、ブラジルのようなチームにはないスピードと戦術的な規律も兼ね備えている。

ポルトガル的な「ブレンド型」選手の代表格はペペ。おそらくユーロ2016ではポルトガルで最も重要だった選手だ。
ブラジル北東部で育ったこの頑強なセンターバックは、常に適切なポジションをとり、タックルではほとんど負けず、それでいて30メートルのフィードを正確に繰り出す技術を持っている。

ヨーロッパのなかではラテンアメリカに最も近いポルトガルのマデイラ島に生まれたC・ロナウドも、ラテンアメリカとヨーロッパの「ブレンド型」だ。
ルイス・フィーゴと同じく、彼はラテンアメリカ型のドリブラーであると同時に、ヨーロッパ型の力で押すフォワードでもある。他のヨーロッパ諸国からは出てこないタイプの選手だ。

ポルトガルがユーロ2016を制したのは、現在の代表がすばらしいためではない。今回のトロフィーは、過去の偉大な代表チームへの褒賞なのだ。
C・ロナウドにも同じようなことがいえる。彼はもう昔の彼ではない。

だが今までのキャリアを考えれば、ポルトガルとともに賞を受けていい。映画のアカデミー賞で、キャリアを通しての業績に与えられる名誉賞のようなものだ。

>>2以降につづく

webスポルティーバ 7月19日(火)13時7分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160719-00010004-sportiva-socc&p=2

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