初の五輪金メダルを目指す開催国ブラジルが初陣でまさかのスコアレスドローに終わった。南アフリカにシュート21本を浴びせたが、エースで主将のネイマールを中心とした攻撃陣が不発。詰めかけた7万人超の大観衆からは容赦ないブーイングが飛び交った。翌5日(日本時間6日)のリオデジャネイロ五輪開会式は不安定な治安に拍車をかける最悪のムードで迎えることになった。
試合終了のホイッスルが響くと、場内は怒号に包まれた。まるで不況と政情不安の中で窮乏するブラジル国民の喘ぎのようだ。
金メダル獲得の至上命令を背負ったネイマールは試合を前にして「重圧はない」と余裕を見せていたが、フタを開ければ、相手の寄せの早い守備とアフリカ特有のパワフルなプレーに戸惑った。後半14分には相手DFが退場となり、数的有利となったが、より引いて守りを固めた相手を崩すことができなかった。
ブラジルは五輪直近8大会で銀3つ、銅2つ。「バレーボールとサッカーは男女ともに金メダルを獲らなければならない種目」と国内で報じられ、特に男子サッカーは2位では意味がない。
地元開催だった2014年W杯準決勝でドイツに1-7で惨敗。今年6月の南米選手権(米国)では29年ぶりにグループリーグで敗退するなど、最近のブラジル代表は低迷が続いている。
ブラジルサッカー連盟(CBF)は五輪代表監督として、解任したドゥンガ氏に代わり、国内タイトルを総なめにしているチッチ氏に要請したが固辞され、結局無名のU-20代表監督、ミカレ氏を就任させた。
「五輪で金メダルを取ればすべての潮目が変わる」(関係者)と、所属チームのバルセロナを口説き落として、ネイマールのリオ五輪招集にこぎつけ、大会前の先月30日には日本との親善試合で2-0と完勝。準備は万全だったが、いきなり本番の初戦でつまずいた。
国民の期待に応えられず、ただでさえ治安が懸念されているのに、フラストレーションをためたサポーターが夜の街で荒れるのは必至。五輪開会式を直前に控え、本来なら夢と希望に満ちているはずのリオデジャネイロが無法地帯にならないことを祈るのみだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160805-00000011-ykf-spo
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